留学生が先生!

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留学生講師 体験記

「留学生が先生!」講師の経験を通じて感じた留学生講師の思いを綴ります。

トルクメニスタン留学生講師 ロジクリエバ・ジェネット先生
生徒たちからの手紙は私の宝物  私が「留学生が先生!」の講師を始めて、今年で4年目です。
 このプログラムで私は「人生の宝物」を見つけることができました。その宝物が私の人生を決めてくれました。まずは、「留学生が先生!」の「異文化理解」教育プログラム、大切な宝物、ありがとうございます。
 1年半ぐらい前、修士課程の修士論文を無事に提出し、もう日本の旅はこれで終わりではないかと考えていました。博士課程は私にはできない、到底無理と思っていました。
 ある日、家に帰ってポストボックスに届いていたあるものをとって、中身を拝見。すると、次のようなことが書いてありました。「ジェネット先生の博士課程を卒業してから、国に帰って、外交官になるという話は自分のためになったと思います。(省略)ジェネット先生も自分の夢に向かって頑張ってください。応援しています。」
 この言葉は私の考えを変えました。その日、夢は諦めずに、博士課程も進もうと決意。
 そのポストボックスに入っていたのは、「私の宝物」でした。それは本プログラムで学校の生徒たちが書いた手紙です。いただいている手紙は毎回読むたびに私の心を温めてくれます。毎回、新しい発見をさせてくれます。つらいときは、元気を引き出してくれます。私が今、博士課程に進んだのは、生徒たちのお陰です。夢は諦めずに、お互い頑張っていきましょう。
 本プログラムは、私たち留学生にとってはもちろん、学校の生徒さんたちにとっても貴重な体験だといえます。言葉では言い表せないぐらい貴重な宝物です。
ロシア留学生講師 ワブーリニク・マリヤ先生
生徒たちとお互いに学びあう、国際理解  「こんなに違うのに、実は一緒だ!」と思ってもらうことは私の国際理解の講義の目的です。
 日本の若者たちはロシアについてほとんど何も知らない人が多いです。ロシアの映画を見たことがないし、音楽も聞いたことがない。ロシアといえば?…シーン…隣の国だといえども、国境の向こうは謎の世界です。
 そんな中、私は講師として生徒を驚かせることが難しくないです。ところが、私は生徒に驚かされることもあるのです。
 3ヶ月前、都内の学校から講義の依頼が来ました。当日は、チャイムがなる数分前に、控室に数人の学生が来て、教室まで案内してくれました。生徒の挨拶を聞きながらも、これから行う講義で頭がいっぱいです。すでに何回も講義をしたことがあるのですが、常に緊張しています。どんなクラスかな。楽しんでくれるかな・・・。
 教室は3階です。ドアまで着いたら、生徒たちの声が。「先生、私たちはロシアについてカベ新聞を作りました。」目を向けると、嬉しい!大きな文字で「ロシア連邦」、文字の色は赤とブルー。よく調べてるな・・・と、そのすぐ下、「マヨネーズ消費量世界一!」と。
 私は私の「留学生が先生!」の講師としての役割が日本の生徒の頭、いや、心の中に私の国のイメージを描くことだと思っていました。ところが、私と生徒の関わりの中、私自身の母国のイメージが変わってしまうこともあります。お互いが学び合う、まさに国際理解の授業でした。
エジプト留学生講師 アブデルアール・アハメド先生
異文化理解とともに、自分の存在価値や役割を気づかせる  このプログラムは、異文化理解だけでなく、人生や価値観を変える素晴らしいきっかけだと信じています。なぜならば、私自身が自分の人生を変えてくれたのが、外国人だったからです。
 専門学校の研修で、五つ星ホテルでインターンをしたことがありました。そのホテルのレストランで、列に並んでいた日本人を目にしました。自国にそんな習慣はないため、驚き感動しました。挨拶するとニコニコ返事してくれ、彼らが日本人と知りました。日本文化を身につけたく、就職をやめて進学し、日本語の勉強を始めました。結果、現在は早稲田大学大学院の博士課程の道に進んでいます。
 私にきっかけを与えてくれた日本人観光客のように、私も今このプログラムで同じ役割を果たすことができると信じています。人生に悩む学生や、自分の存在価値や役割に気づいていない学生の目を覚まし、感謝しながら、異文化理解の大切さを伝えていきたい。私のように、異文化と出合ったのがきっかけで、変わるかもしれない誰かの役に立てれば嬉しいです。
中国留学生講師 チワン族 黄 海萍(コウ カイヘイ)先生
国や民族の文化、そして「人生は冒険だ」を伝える  私は「留学生が先生!」プログラムを通して、中国や中国のチワン族を紹介しています。講義では、生徒たちに中国の京劇の服装やチワン族の民族衣装を体験してもらい、自分の夢、留学経験や勉強のコツを伝えました。
 生徒たちが真面目に中国語のあいさつを学び、チワン族の写真に興味を示すだけではなく、私の夢や留学の経験も真剣に聴いてくれました。また、私の講義から得るものがあったようで、感謝の手紙に「ありがとう」、「中国が好きになった」、「チワン族に興味を持つようになった」ことと目標や夢などを書いてくれました。
 私は「すぐに」勉強する(「す」は数字、「ぐ」は具体的な数字、「すぐに」はすぐにやる)ことを生徒たちに勧めました。また、生徒たちのやる気を引き出すために、「人生は冒険です。やってみないと分かりません。やってみないと何も始まりません」と言わせるようにしています。何回も繰り返しているうちに、私自身の夢も膨らんできました。そして、新たな冒険やチャレンジに挑むことができました。
 「留学生が先生!」プログラムと日本の生徒たちに感謝します。今後も、最善を尽くして中国や中国のチワン族について紹介し、日本の生徒たちに元気や勇気を与え続けたいと思っています。
タイ留学生講師 トンノッパラット・プラウド先生
未知の世界に飛び込みタイと思うような授業を 出講日は毎回、家からタイの民族衣装を着て、民族衣装で電車に乗って学校に行きます。民族衣装を着るのに時間がかかるという理由もありますが、一番大きな理由は生徒ではない人々にも異文化に触れてもらいたいことにあります。講義では、リアルなタイの魅力を生徒たちに伝えるために、ドライドリアン、タイ米、ココナッツの殻で作られたタイの伝統的なおもちゃ等の様々な実物を見せます。
私は講義をする上で最も大切にしていることは生徒たちの「未知の世界に飛び込みタイ」という気持ちです。生徒たちにタイをはじめとする自分の知らない世界に飛び込んで欲しいので、「たい」ではなく「タイ」にしました。生徒たちが「タイに行ってみたい!」と言ってくれた時、私はとても嬉しく感じました。ですが、私にとっては「色々な国の人と知り合いたい!」等の未知の世界に挑戦したい気持ちを伝える言葉が何よりも一番嬉しいです。
母国の文化や将来の夢を語るのがもちろん重要ですが、先生の最も重要な役割は日本の未来を担う生徒たちに勇気を与えることだと思います。未知の世界に飛び込む勇気は国際理解の基盤だと感じます。母国の魅力及び自分自身の生き方を伝えることで、その基盤を支えることができるのは、「留学生が先生」の最大のやりがいです。
これからも「未知の世界に飛び込みタイ」を大切にしながら、勇気の輪を広げていきたいです。