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ご挨拶

ご挨拶

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「多文化共生」への我が想い

神内 良一
公益財団法人 国際理解支援協会
評議員会 会長

「留学生が先生!」教育プログラムを通して「生徒・児童の国際理解や異文化理解を支援し、多文化共生の意識を育む」という趣旨に賛同し、これまで私を育んでくれた社会に少しでもお返しすべく、平成14年に財団の経営を引き継ぎました。 このプログラムを通して日本の子供たちは世界に視野を広げ、国際社会で活躍する人材に育ってほしい。また、外国の留学生たちにはより日本を知る機会となり、友好の懸け橋となってほしいと期待しています。

   
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グローバル人材育成のため学校教育を支援

小林 閏一
公益財団法人 国際理解支援協会
代表理事

 「留学生が先生!」教育プログラムは開講から今年で29年目を迎えますが、各学校からの評価は今なお非常に高く、2016年度の実績は実施校が年間で322校、授業時間数で約2,418時間、児童生徒数で約7万人を数え、今なお増加の傾向にあります。 本プログラムを通して留学生が紹介する母国の生活や文化、あるいは自分自身を語る生き様や将来の夢などは、子供たちがいろいろな国の生の情報に触れるだけではなく、自分自身の進路を考えるうえで貴重な指針となっています。 これからも「優秀な留学生講師の確保と個別研修による指導技術の向上」を真髄に、私に与えられた重責を果たしていきたいと考えています。
 改めて言うまでもなく、昨今の世界的なグローバリゼーションに伴い、日本社会のグローバル化も急速に進み、このような社会の変化に対応できる人材の育成が急務とされています。
今、日本の小中高校では世界の共通語として英語教育、とりわけ英会話教育への取り組みに力を注ぎつつあります。 しかし、併せて重要なことは、世界に数多くある民族や人々の多様な生活文化に触れさせ、ものの見方や生き方の共通点や相違点を理解させ、違いを受容させるとともに、日本人としてのアイデンティティーを育ませることではないかと思います。
幸か不幸か日本は国境線がすべて海により隔てられており、外国人の居住者もそれほど多くはないために、子供たちは日常生活で外国人と接する機会がほとんどなく、他国とは異なる地域に存在しています。この日本の地理的な条件を補い、グローバル社会で活躍する次代の人材を育成するうえで、「留学生が先生!」教育プログラムが果たす役割は決して小さなものではないといえます。  また、このプログラムは、外国人留学生が日本の先生方や児童生徒たちとの交流を通して日本文化をより深く理 解する機会となり、すでに幾人かのOBたちが母国と日本との懸け橋を担ってくれています。これからも、新たな留学生たちがその担い手になってくれるに違いありません。
 このように得難い特長を持つ本プログラムの活用をさらに発展させるために、これからも関係者ともども一丸となって取り組んでいきたいと思います。

後援のお言葉 (寄稿順)

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東京都の国際理解教育とそれを支援する
『留学生が先生!』

鯨岡  廣隆 氏
東京都立両国高等学校 東京都立両国高等学校附属中学校 校長
前・東京都教育庁指導推進担当部長

      

 東京都教育委員会は、グローバル社会の様々な場面で国際社会に生きる日本人としての自覚を深め、時代の変化に主体的に対応し、世界の人々から信頼され、尊敬される日本人の育成を目指し、国際理解教育を推進しています。ここでは、東京都が進める高校生の留学支援や英語教育の改善・充実を図る取り組みについて紹介します。

東京都は、世界をリードするグローバル都市の実現を目指しており、国際感覚豊かな若者を東京から輩出するため、高校生が留学にチャレンジする「次世代リーダー育成道場」を平成24年度に開設しました。平成27年度末までに、約550名の都立高校生が約10か月間、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドで学んでいます。留学先では、現地の高校での学習に加え、ホストファミリーとの生活等を通して、生徒たちは様々な異文化体験をしてきます。東京都教育委員会は、今後、平成36年頃までに延べ2,000名の都立高校生に留学経験をさせることを目指しています。

国際社会において、様々な場面・分野で活躍する人材を育成するためには、コミュニケーションツールとしての使える英語力が欠かせません。東京都は、高校卒業段階で日常生活に必要な英語力として英検準2級程度を習得させることを目標に掲げています。平成27年度からは、都立高校10校を「東京グローバル10」に指定するなど、新たな取り組みも始めました。指定校は、外国語授業の改善に向けた先進的取り組みや、学校独自の特色ある取り組みを実施するなど、意欲ある生徒の外国語力の向上を推進するとともに、積極的に国際交流を行い、国際理解教育を一層推進しています。

また、韓国、マレーシア、台湾、シンガポール、アメリカ、オーストラリア、イギリスにおいて国際交流の機会をそれぞれ設け、生徒が現地の大学や高校で学ぶとともに、ホームスティなども体験しました。併せて、平成27年5月に国際バカロレアの認定を取得したことにより、「東京グローバル10」の中の都立国際高等学校が、学校制度の仕組みとして、海外の大学に進学を希望する生徒への支援が可能となりました。東京都は、こうした取り組みにより、海外で通用する英語力や広い視野を身に付け、世界を舞台に活躍できる人材を育成していきます。

さらに、東京でのオリンピック・パラリンピック大会の開催を踏まえ、英語によるコミュニケーション能力の向上を図り、東京及び日本の伝統・文化等について理解を深めるための、東京都独自の英語教材『Welcome to Tokyo(DVD教材付)』を作成し、特別支援学校、公立小学校5・6年児童及び公立中学校・高等学校の全生徒に配布したところであります。今後、この教材の活用を通して、児童・生徒が海外から来日した外国人に対して、おもてなしの心をもって、東京や日本について紹介してくれることを期待しています。

さて、公益財団法人国際理解支援協会の「留学生が先生!」教育プログラムですが、日本で学ぶ外国人留学生が先生として日本の学校に行き、母国の暮らしや文化、日本に留学に来た理由、日本で学んでいることや将来の夢などを語ることにより、各学校が進める国際理解学習の貴重な機会となっています。日本の伝統・文化教育、食育、キャリア教育、オリンピック・パラリンピック教育等と関連付け教育課程に位置付けて導入している学校も多く、平成27年度にこのプログラムを活用した学校は、都内公立小・中学校で208 校、都立学校では52校ありました。留学生との、このような直接的な交流は、児童・生徒にとってかけがえのない体験であり、東京都の国際理解教育の推進を支える大変意義のある教育プログラムです。

東京都は2020年にオリンピック・パラリンピック競技大会を開催します。東京都教育委員会は、児童・生徒が国際関係や異文化を単に理解するだけではなく、自国の伝統や文化の正しい理解の上に、国際社会の一員としてどのように生きていくのかを考え、自ら進んで行動しようとする態度を身に付けることができるよう、今後とも、様々な取り組みを通してグローバル都市東京における国際理解教育の推進に努めてまいります。

(2016年機関誌寄稿)

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このプログラムは留学生にとっても
日本社会や文化を知る好機

張 競 氏
明治大学 教授

 ここ30 年来、留学はより身近なものになり、その意味も大きく変わった。私が日本に来たとき、アジアからの留学生たちは「先進国に追いつき追い越せ」という使命感が強く、その多くが学者あるいは研究職を目指して大学院で勉強していた。それが変わったのは80 年代の終わりころだと思う。日本語学校生や学部留学生が増え、留学の形態も留学生の出身国も多様化した。
人数だけでなく、留学の目的意識も変化している。先日、勤務校で留学生試験の面接があった。受験生に将来、何になりたいかと聞くと「旅行会社のガイド」、「貿易の仕事」、「通訳」、ひいては「客室乗務員」や「会社員」など多種多様だ。個人的な動機によるものがほとんどで、もはや「国のために」という気負いはなくなった。
留学は、単に専門知識を取得するためだけではない。日本社会や文化を知り、現地の人たちとの交流も大切なことだ。ところが、忙しい学習生活のなかで、日本人との交流は自ずと狭い範囲に限られてしまいがちである。本人が意識するか否かにかかわらず、留学生の一人一人は文化大使の役割を担っている。出身国の文化を日本に紹介し、相互の文化理解を深めることは日本社会に貢献するだけでなく、日本文化を知り、異文化コミュニケーションの難しさを理解する一助にもなる。『留学生が先生!』教育プログラムは、そうした草の根の文化交流に貴重な機会を提供している。
私がこのプログラムに加わったのは、23 年前のことである。当時、博士課程に在籍しており、面接などの選考を経て、幸運にも第1期の講師に選定された。それから3 年ほどの期間であったが、このプログラムを通じて忘れがたい体験をした。
異文化との出会いはしばしば自国の文化を再発見するきっかけになる。自分が生まれた国や文化のことについて、いざ日本語で説明するとなると、想像したよりも難しく、また知らないことが多いことに気付いたりする。
日本の中高校生たちと語り合うのは楽しくもあり、また驚きの連続でもあった。大人に比べて、十代の子どもは本音を覆い隠さない。彼らが発した質問はときには鋭く、その話からいろいろと示唆を受けたこともある。中学校や高校の教壇に立つのは、単に何かを「教える」のではなく、講師たちにとっても文化交差を体験することであり、生徒たちとの会話を通していろいろと学ぶこともできる。
私は大学院で比較文学比較文化を勉強しており、異文化交流の問題は自家薬籠中のものと自負していた。だが、十代の中高校生たちと語りあっているうちに、あることに気づいた。異文化理解における承認の問題は人間の尊厳という厄介なものが絡んでおり、一筋縄ではいかない。文化の語り方において、感情や感傷を完全に排し、純粋に理性にもとづくことはきわめて難しい。研究室のなかで理論を勉強するだけでは、決して気づかなかったことであろう。
短い授業時間のなかで、自民族中心主義の弊害をわかりやすく説き聞かせ、同時に文化相対主義の問題点も指摘しなければならない。あらゆる文化に対し、無条件にその正当性を認めるべきで、異なる文化が互いに尊重すべきだ、という主張はなぜ批判に晒されたかについても、平明な言葉で説明する必要がある。たかが「留学生が講師」。とはいえ、その責任が思ったよりも重大であることは、教壇に立ってはじめて実感した。
学位を取得した後、偶然の機会で日本の大学で教えることになった。20 年来、日本の大学生を相手に比較文化学を講じてきたが、振り返ってみて、このプログラムに参加したことは自分にとって貴重な経験になったのは間違いない。いま小中高校で活躍している講師の皆さんもこのプログラムを生かし、大学の研究室ではえられない体験をしてほしいと思う。

(2011年機関誌寄稿)

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子どもにとっての成長モデルとしての留学生との
交流の意義

銭谷 眞美 氏
文部科学省初等中等局長

 国際化が進展する中にあって、異文化に対する理解を深め、異なる文化を持つ人々と共に協調して生きていく態度や広い視野を持った児童生徒を育てていくことは、極めて重要なことです。
すでに、これまでにも各学校において、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間などの指導において、あるいは学校独自の行事などを通して、様々な形で取り組まれてきましたが、国際理解教育の推進についての明確な理念をもって、この面での教育を一層、充実させていく必要があります。
特に重要と考えることは、多様な異文化の生活・習慣・価値観などについて、「どちらが正しく、どちらが誤っている」ということではなく、「違い」を「違い」として認識していく態度や相互に共通している点を見つけていく態度、相互の歴史的伝統・多元的な価値観を尊重し合う態度などを育成していくことです。
一つの見方や考え方にとらわれて、異なる文化・生活・習慣などを断定的に評価するようなことは、子供たちをいたずらに偏見や誤った理解に陥らせるもとになりかねず、決してあってはなりません。
同時に、国際理解教育を進めていくにあたっては、自分自身が何者であるのかを知ることにも大きな意味があります。
つまり、児童生徒一人一人の個の確立のうえに、我が国の歴史や伝統文化などについての理解を進めることも重要です。
先人たちによってどのような歴史が展開され、どのようにして現代の社会が築かれてきたか、どのような芸術や文学などが創造され、我々の社会に継承され、我々の生活を豊かなものにしてくれているかなどについて、広く世界の歴史を背景に、子供たちにしっかりと理解させることは、我々大人の責務なのです。
また、国際理解教育がこのような狙いをもったものであることを考えると、この教育を実りのあるものにするためには、学習内容を単なる知識理解にとどめることなく、体験的な学習や課題解決的な学習などをふんだんに取り入れることによって、実践的な態度や資質、能力を育成していく必要があります。
そのためには、これらの教育にふさわしい人材を学校外から積極的に招くことも有効です。
学校や地域の実態に応じ、地域で行われる様々な国際交流活動に参加するとともに、日本の大学などに在学する外国人留学生、インターナショナル・スクールの子供たちなどとの交流を進めていくことや、インターネットなどの情報通信ネットワークを活用して、外国の学校などとの国際交流を進めていくことは、たいへん意義深いことと考えます。
公益財団法人 国際理解支援協会は、『留学生が先生!』教育プログラムとして、「異文化理解」、「英語活動」、「日本語適応指導」の3つの分野で、学校における国際理解教育を支援するプログラムを提供しています。
各国から来日し日本の大学で学ぶ優秀な留学生の皆さんと、日本の児童生徒が実際に教室でふれあい、多様な外国語や文化に関わる交流活動を体験することは、児童生徒の異文化への理解を進めることにより、将来、多文化共生社会で活躍するときに大きな助けになるものと思います。

(2007年機関誌寄稿)

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外交官のミッションに匹敵する『留学生が先生!』教育プログラム

ギュルセル・イスマイルザーデ 氏
駐日アゼルバイジャン共和国大使館副大使

 私は、子供のころから外交官になりたいという夢を持っていました。
だから、1993年に大学を卒業してからアゼルバイジャンの外務省に入り、3年間ほど働きました。そのうちに「もう少し勉強したい、特に外国で勉強したい」という思いが強まり、留学申請を出しました。
いくつかあった留学先の中で、私は言葉や文化、習慣などをまったく知らない日本を選びました。そして1996年、私は大学院の留学生として初めて日本に来ました。まず日本語を勉強した後、上智大学の修士課程と博士課程で勉強しました。
私の母国・アゼルバイジャンは1991年、ソ連の崩壊後に独立し、国際社会に入ったばかりの若い国なので、日本で「私はアゼルバイジャンから来た、アゼルバイジャン人です」と言っても、「そのような国は知らない」という日本人が多かったのです。そのため私は、いつも「アゼルバイジャンのことを日本の人々に知ってほしい」と思っていました。
アゼルバイジャンは東と西、アジアとヨーロッパの交差点に位置し、昔から「火の国」と呼ばれています。現在でも至る所で天然ガスの噴出による炎が燃え続けています。独立後は、「火の国」としてのイメージを回復するために石油開発が推進され、国際社会の一員としての地位を求めています。その埋蔵量は大きな可能性を示し、世界の国々から大いに注目されています。
私が来日して4年目(2000年)のあるとき、『留学生が先生!』教育プログラムの講師募集を見た瞬間、「これは、素晴らしいチャンスだ」と考え、応募し、参加しました。それから4年ほどの間に、私は100校以上の学校を訪ね、母国の文化や習慣などを日本の子供たちに紹介するとともに、自分が日本に留学した理由や目的、それに自分の夢や将来の進むべき道などについて語り続けました。そして、日本の児童・生徒たちの大半は、私の講義に真剣に耳を傾けてくれました。
このような講師の体験などを通して、日本での生活にもかなり慣れてくると、私は日本の文化などに一層、強い興味を持つようになりました。そのうちに、私は「外交官になりたい」という夢とともに、「日本で外交官として働きたい」という2つ目の夢を持つようになりました。とは言っても、このような大きな夢を実現するのは簡単なことではありません。しかし、私は「意志のあるところに道は開ける」という諺をいつも念頭におきながら、夢に向かって努力していました。
そして、大学の課程を無事に終了。2004年末に一時アゼルバイジャンに帰国し、翌2005年の9月に再び日本に来ました。二度目は留学生ではありません。ついに私の夢はかなえられ、外交官としての来日でした。現在は、昨年の10月に東京に開設された在日アゼルバイジャン共和国大使館の副大使として働いています。
外交官の仕事とは、駐在している国で母国の代表として活動することです。そして、自分の国と各国との間の友好関係を維持するために、また、世界平和のために活動することです。特に、駐在している国に自国を紹介することは、大使館で働いている外交官の一番大事なミッションです。ということは、顧みると、私は日本の大学で勉強していたときから、すでにこのミッションの一端を担っていたのだと思います。
『留学生が先生!』教育プログラムのおかげで、私は留学生として日本で母国を紹介することができました。そして現在は、同じ活動を外交官として行っています。ですから、このプログラムは外交官のミッションに匹敵するだろうと、私は考えているのです。
『留学生が先生!』教育プログラムの経験は、私の「外交官になりたい」という夢と、「日本で外交官として働きたい」という二つの夢を同時に達成するうえで、大きな役割を果たしてくれました。

(2005年機関誌寄稿:現大使)

「異文化理解」教育プログラム
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